ある日の哀しみ
先日、学生時代のアルバイト仲間Sから久しぶりに連絡がきた。
「Aちゃんこと聞いた?」
AちゃんとはSやわたしと同じアルバイト仲間で4つ歳下の後輩ちゃんのことだ。
「何のこと?知らないけど。」
「Aちゃん亡くなったって...」
Aちゃんとはもう5年は会っていない。アルバイトを辞めたっきり一度も。
アルバイト仲間は割とみんな仲が良かった。4つ歳下ではあるが、妹みたいな感覚で私たちは可愛がっていた。とりわけAちゃんは人懐っこくて愛嬌のある明るい性格の子だったから一緒働いていて楽しかった。
何故?
地元が近いのでAちゃんの近況は人伝に聞いてはいた。去年結婚したばっかりだった。まだまだ人生これからだよね?
Aちゃんとアルバイトしていた時のこと、プライベートで一緒に学祭に行った時のこと、実家に上がらせてもらってペットのハリネズミを触らせてくれたこと、将来の夢を話してくれたこと。
いつもは思い出さないだけで覚えていた記憶がすごいスピードで次々に脳裏に蘇ってきた。脳の処理が圧倒的に追いついていないような不思議な感覚だった。
「明日の18時からお通夜があるって。行ける?」
「うん、一緒に行こう。」
Aちゃんが旦那さんと暮らす街の葬儀場だった。
会場には旦那さんや友達とのプリクラ、職場の制服、写真、たくさんの思い出が飾られていた。
真ん中にはウェディングドレス姿のAちゃんの遺影。本当に綺麗だった。幸せな笑顔。
そしてマタニティーマークのキーホルダー。
今まで味わったことのない悲しみだった。
本当に残念でならない。
何で?という思いが頭から離れないし、一人ではとても抱えきれない感情だった。
Aちゃんも悔しいだろうなあ。
本当に本当悔しいと思う。
ただただ安らかに。心安らかに眠って下さい。
今は新型コロナで行動自粛傾向ではあるけど、感染リスク対策して会いたい人には会いたい時に会うべきだし、やりたいことはやりたい時にやるべきだと本当に思った。
本当に急に会えなくなることだってあるんだから。
とりあえずわたしは何となく疎遠になっていた友達に連絡してみようと思う。
こんな悲しみもう二度と味わいませんように。